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文献詳細

雑誌文献

精神医学41巻6号

1999年06月発行

文献概要

研究と報告

精神科患者における多重債務の問題とその対応

著者: 中尾智博1 坂田美穂1 竹田康彦1 木村光男1 菅原英世2 脇元安1 森山成彬1 斉藤雅1

所属機関: 1八幡厚生病院 2大分医科大学臨床薬理学教室

ページ範囲:P.643 - P.650

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【抄録】 近年,社会的にもよく取り上げられる多重債務の問題が,精神科の臨床に及ぼしている影響について調査を行った。筆者らが現在治療中の症例のうち8症例が,多重債務の問題を抱えていた。本人の疾患は精神分裂病4例,躁うつ病1例,うつ病1例,病的賭博1例,薬物依存1例であった。精神症状に続発して多重債務の問題が発生したり,多重債務が精神症状を惹起したりするなど,両者間に種々の関連性を見い出すことができた。債務は,生活苦,ギャンブル,浪費などを機に,クレジットカード使用によって拡大していた。入院治療と同時に,個別弁済,自己破産,任意整理など様々な対応がなされていたが,多くは家族が肩代わりしており,その経済的,精神的な負担は大きかった。今後も多重債務問題の増加が予想され,本人,家族の精神,経済両面の安定のために,臨床の場で適切な対応を行う必要があることを説いた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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