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文献詳細

雑誌文献

精神医学41巻6号

1999年06月発行

文献概要

短報

硬膜下水腫が合併した遷延性アルコール離脱せん妄の1症例

著者: 山吉佳代子1 多田幸司1 鈴木匡1 笠茂公弘1 松浦雅人1 小島卓也1

所属機関: 1日本大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.665 - P.667

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 アルコールの離脱せん妄は断酒2,3日後から起こり,多くの場合5日以内に症状が消失する。しかし,時には意識障害が遷延する場合があり,その際はWernicke脳症や肝性脳症などを疑って診断,治療を進めていかなければならない。また,アルコールの離脱せん妄では硬膜下血腫,肺炎や髄膜炎などの感染症,膵炎,肝障害などを併発することがあり,これらの合併症に注意して治療を進めていく必要がある1)。今回,我々は硬膜下水腫とアルコール離脱せん妄が合併し,48日間せん妄が持続した40歳の男性例を経験した。硬膜下水腫は外傷によってクモ膜が断裂し,髄液が硬膜下に貯溜する病態である。多くの場合頭部外傷後に生じるが,頭部外傷が軽微で本人が気づかないこともある5,7)。最近では画像診断の進歩により頭部外傷後硬膜下水腫が生じ,その後硬膜下血腫に進行する症例,水腫のまま経過する症例などが報告され注目を集めている4)。本症例の診断,治療についてこれまでの報告と比較検討した結果,若干の知見を得たので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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