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文献概要

研究と報告

チトクロームP 450 II D6遺伝子変異と悪性症候群—CYP 2 D 610のホモ接合体である悪性症候群症例の検討

著者: 河西千秋12 金井晶子1 下田義和2 藤巻純2 鈴木京子1 杉山直也12 大西秀樹1 石井紀夫2 小阪憲司1

所属機関: 1横浜市立大学医学部精神医学 2藤沢病院

ページ範囲:P.697 - P.702

【抄録】 悪性症候群は向精神薬による副作用の1つであるが,その発症に分子遺伝学的要因が関与している可能性がある。我々は悪性症候群に罹患歴のある4人の患者において,PCR法,RFLP法を利用してチトクロームP450 IID 6遺伝子変異を同定した。変異のタイプはCYP2D610変異で,ホモ接合体であった。チトクロームP450 IID 6は数多くの向精神薬の代謝に当たるが,10変異アレルのホモ接合体の個体では,酵素活性が低下し基質薬物の代謝が遷延することが知られている。今回の4例においては,チトクロームP450 IID 6の基質となる抗精神病薬により悪性症候群が惹起されていることから,チトクロームP450 IID 6遺伝子変異が悪性症候群の1つの発症危険因子になっている可能性がある。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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