文献詳細
研究と報告
Risperidoneにより「挿間性無動状態」を繰り返した精神分裂病の1例
著者: 澤原光彦1 渡辺昌祐2 元木郁代1 吉田昌平1 青木省三1
所属機関: 1川崎医科大学精神科学教室 2川崎医療福祉大学医療福祉学部臨床心理学科
ページ範囲:P.703 - P.710
文献概要
〔症例〕精神分裂病解体型,27歳の男性。他の抗精伸病薬でakathisiaとparkinsonismが出現し入院した。入院後,RIS投与により挿間性無動状態を繰り返した。
〔症状特徴〕平常時に寡動と抑うつはなく,突発的急速に動作が完全停止し,無動状態に振戦と筋固縮,眼球上転は欠如,biperiden筋注が著効した。症状頻度はRIS用量依存的で投与中止後は完全消失した。zotepineの併用が無動状態を誘発する傾向を認めた。
〔経過〕発作性知覚変容体験が先行し,初期には混在していたが後に知覚変容を伴わない独立した「無動状態」に移行した。
以上の特異な症状と経過の記述を行い,数少ない過去の類似の症状記載と対比し,考察を加えた。
掲載誌情報