icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学41巻7号

1999年07月発行

文献概要

研究と報告

常用量のtrazodoneによりセロトニン症候群を呈した躁うつ病の1例—脳萎縮・梗塞の関与

著者: 笹川嘉久1 松山哲晃1 佐々木史1 高丸勇司1 岩崎俊司1 松原繁廣1

所属機関: 1国立十勝療養所

ページ範囲:P.727 - P.732

文献購入ページに移動
【抄録】 72歳の男性。躁うつ病にて通院中,尿路感染症を契機に意識障害を呈して入院した。入院後trazodoneの投与を開始し,さらに75mgから125mgに増量した数時間後,腹痛,下痢が出現,翌日より興奮,見当識・記憶障害の悪化,悪寒,振戦,上下肢のミオクローヌス,深部腱反射の亢進が認められた。trazodone中止,cyproheptadine投与後,これらの身体症状は約1日間で消失,意識障害も約10日間で改善した。本症例では,高齢,脳器質的障害,意識障害という脳の脆弱性および脳機能の低下が存在しており,これらが常用量のtrazodoneによるセロトニン症候群の発症に関与した可能性があると思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?