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文献詳細

雑誌文献

精神医学41巻7号

1999年07月発行

試論

解離性同一性障害(多重人格障害)の症状形成モデル試論—個人内同一性間健忘としての多重人格症状

著者: 若林明雄1

所属機関: 1千葉大学文学部心理学講座

ページ範囲:P.755 - P.762

文献概要

 多重人格という現象は,18世紀頃から記録が残されているように,古くから知られている精神症状ではあるが,比較的まれな現象とされていた。しかし,1980年頃から多重人格障害(Multiple Personality Disorder)という診断名の症例が,アメリカを中心に集中的に報告され,精神医学の領域において一大トピックスをなすに至った。一方,このような多重人格という診断の異常なまでの流行に対して,Fahy4)のように,多重人格障害の診断の増加に懐疑的ないしは批判的な研究者も存在していた。そのような中で,1994年に公刊されたDSM-IVでは,多重人格という表現は削除され,従来の多重人格障害に相当する診断名は‘解離性同一性障害(Dissociative Identity Disorder)’に変更された。しかし,その症状の病因については,未だ明確なことはわかっていない。
 そこで本論では,多重人格症状形成のメカニズムについて従来主に検討されてきた精神病理学的な観点に加えて,認知心理学的な記憶障害研究や神経生理学的研究などの面からも検討を行い,その症状形成に至るプロセスを考察することを目的とする。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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