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短報
がん患者への構造化された精神科的介入の有効性について
著者: 保坂隆1
所属機関: 1東海大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.867 - P.870
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新しい学問・臨床領域であるサイコオンコロジーの中で,がん患者への心理社会的介入が注目されている3,7)。筆者は,日本人に適した形態の精神療法的アプローチを検討して,個人および集団を対象にした「構造化された介入」を考案し,その効果と限界について報告した5)。それによれば,回数を5回に設定した場合,個人でも集団でもこのような介入は情緒の改善に効果的であった。しかし,個人介入を行った場合には,より個人的な話はできても,同じ病気を有した他の患者との情報交換や情緒交流ができないという制限があることもわかった。がん患者に対する集団介入は,同じ病気を持った患者同士で支援し合うことが可能になったり,孤立感を軽減するのに役立ったり,具体的な問題を解決するのにすぐに役立つ情報交換が可能になったり,さらに,医療者の人的・時間的な効率の良さにつながる方法であると思われる。そこで,今回は新たな「乳がん患者のための構造化された精神科的介入プログラム」を考案し,乳がん患者の抑うつをはじめとする陰性の情緒状態の改善に対する有効性を検討したので報告する。
新しい学問・臨床領域であるサイコオンコロジーの中で,がん患者への心理社会的介入が注目されている3,7)。筆者は,日本人に適した形態の精神療法的アプローチを検討して,個人および集団を対象にした「構造化された介入」を考案し,その効果と限界について報告した5)。それによれば,回数を5回に設定した場合,個人でも集団でもこのような介入は情緒の改善に効果的であった。しかし,個人介入を行った場合には,より個人的な話はできても,同じ病気を有した他の患者との情報交換や情緒交流ができないという制限があることもわかった。がん患者に対する集団介入は,同じ病気を持った患者同士で支援し合うことが可能になったり,孤立感を軽減するのに役立ったり,具体的な問題を解決するのにすぐに役立つ情報交換が可能になったり,さらに,医療者の人的・時間的な効率の良さにつながる方法であると思われる。そこで,今回は新たな「乳がん患者のための構造化された精神科的介入プログラム」を考案し,乳がん患者の抑うつをはじめとする陰性の情緒状態の改善に対する有効性を検討したので報告する。
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