文献詳細
短報
出産の27年後に精神症状が出現したSheehan症候群の1例
著者: 葉室篤1 宮岡等1 伊藤恵美1 坂井俊之1 吉邨善孝1 上島国利1 高場恵美2 槇政彦3
所属機関: 1昭和大学医学部精神医学教室 2昭和大学医学部第二病理学教室 3昭和大学医学部第一病理学教室
ページ範囲:P.983 - P.985
文献概要
Sheehan症候群は,1937〜1939年にSheehan12〜14)によって報告された,出産後の多量の出血やショックにより下垂体に虚血性の壊死を起こす疾患である。これは非腫瘍性であり,下垂体機能低下症の原因疾患の大半を占める。多彩な身体症状のほかに,精神症状としては,無気力・傾眠傾向・易疲労感・まれに慢性の幻覚を認め,分裂病様状態を呈することもある7,10,12)。
今回我々は,出産時,胎盤剥離不全から,多量の出血を来したが,無治療のまま長期間経過し,その後糖質コルチコイド補充療法を受けていたが,補充療法中断を契機に明らかな妄想や幻聴を呈した症例を経験したので,報告する。
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