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文献詳細

雑誌文献

精神医学41巻9号

1999年09月発行

紹介

終末期癌患者の実存的苦痛—研究の動向

著者: 森田達也1 角田純一1 井上聡1 千原明1

所属機関: 1聖隷三方原病院ホスピス

ページ範囲:P.995 - P.1002

文献概要

はじめに
 近年,終末期癌患者の心理についての関心が高まり,精神科医の緩和ケアへの参加が期待されている。癌患者の苦痛を全人的に理解するために,緩和ケアでは,霊的苦悩(spiritual pain)注),すなわち,意味の喪失に基づく実存的苦痛の重要性が強調されている。欧米では,サイコオンコロジーの標準的教科書において霊的ケアが記載され,DSM-IVでは霊的苦痛を含む診断カテゴリーとして「宗教または神の問題」(臨床的関与の対象となることのある状態)が明記された21,59)。しかし,我が国では,霊的・実存的苦痛に対するケアは重要であると考えられているものの,精神医学領域において扱われることはほとんどない。今回,我々は,霊的苦痛の概念を明確にし,今後求められる研究を明らかにするために,霊的・実存的苦痛に関する内外の知見を系統的レビューの手法に準じてまとめたので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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