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文献詳細

雑誌文献

精神医学41巻9号

1999年09月発行

文献概要

資料

皮膚電気活動と家族の感情表出

著者: 藤田博一1 下寺信次1 氏原久充1 三野善央2 井上新平1

所属機関: 1高知医科大学神経精神医学教室 2岡山大学医学部衛生学講座

ページ範囲:P.1003 - P.1009

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 精神疾患の症状経過に及ぼす環境因子の中で,家族が患者に向ける感情の表出(Expressed Emotion;EE)が,主に精神分裂病と感情障害を対象に研究されてきた。日本においても欧米でのEE研究と同様に,家族のEEが分裂病6,18)や感情障害25)の症状経過に影響を及ぼすことが示された。また,EE研究はその対象疾患が老人の精神疾患15,26)や摂食障害2)に広がり,さらに,患者の社会機能に対する影響も検討されている5)
 これまでEE研究は,家族が患者に与える影響を主に調べてきた。その逆に,家族から向けられる感情を患者がどのように受け止めるかという点についての研究は数少ない。その中では,研究は2つの方向に分けられる。1つは,患者がEEをどのように認知しているかを測定しようとする研究である。1988年にColeらは,Level of Expressed Emotion(LEE)という60項目からなる質問紙による検査を開発した1)。これは,家族面接によってEEを測定していたそれまでの方法と違い,患者側の視点に立ったより直接的な方法である。より簡単に,また家族の協力がなくてもEEを評価できる点で便利な方法である。1990年には,Kazarianら8)が,LEEとCamberwell Family Interview(CFI)の全点数には関連があると述べている。1997年に,Gerlsmaら4)は,26人の外来でのうつ病患者と対照者を比較し,LEEとうつ症状,人間関係の不満,ストレスへの対処法と関連していたことを示している4)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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