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文献詳細

雑誌文献

精神医学42巻1号

2000年01月発行

研究と報告

分裂病の音楽幻聴(第2報)—33症例からの再確認と要素・言語幻聴との関連

著者: 馬場存12 濱田秀伯1 古茶大樹1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室 2武蔵野中央病院

ページ範囲:P.45 - P.52

文献概要

【抄録】 ICD-10の診断基準を満たした33例の精神分裂病患者に認めた音楽幻聴について,症候学的な立場から検討を加えた。症例の構成は男性24例,女性9例,年齢は21〜64歳(平均37.6歳)である。抽出された音楽幻聴48エピソードの持続期間は多様で,分裂病のいずれの時期にも出現し,9エピソード(18.8%)が診断前に認められた。全エピソードを第1報に示した3つの病期に区分することができ,第1期17(35.4%),第2期5(10.4%),第3期26(54.2%)で第2期の出現した例は少なかった。38エピソードの音源が内部主観空間に定位し,大半が聞き慣れた内容で,聞き覚えのないメロディは3エピソードにすぎない。7例が音楽幻聴の前後に要素幻聴を伴い,一部に記憶表象とみなしうるものもあった。第2期は考想化声を伴い,歌詞を伴う音楽幻聴は被影響性の,歌詞のないメロディには新たに言語性の変化が加わった。分裂病の音楽幻聴は記憶表象から始まる仮性幻覚で,病勢に応じて真性幻覚に移行する可能性を持つ。我々は3つの病期をおよその進展と病態水準を示すものと考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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