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パニック発作—広場恐怖への発展
著者: 大曽根彰1
所属機関: 1牛久愛和総合病院心療内科
ページ範囲:P.53 - P.61
文献購入ページに移動【抄録】 DSM-IVによりパニック障害(PD)と診断された138例を,障害発症後,広場恐怖を伴わない群(56例)と,広場恐怖を伴う群(82例)に分け,性差,発達歴,病前性格,初回のパニック発作(PA)の症状構成,その発症状況などに注目し,広場恐怖への発展に関与する要因を包括的に調査した。その結果,初回のPAが自宅以外で,人間に不安・緊張を強いる場所や状況,特に車の運転中や電車,バスなどに乗車中だった場合,その後,有意に広場恐怖へと発展していた。そして若い女性において,よりこの傾向が強く,社会心理的要因の関与が推測された。今後は,幼少期の分離不安などの発達歴,PDの経過などの前方視的な調査が必要と思われる。
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