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文献詳細

雑誌文献

精神医学42巻1号

2000年01月発行

文献概要

研究と報告

Anorexia nervosaの回復過程にみられる「多食傾向」について

著者: 花澤寿1

所属機関: 1帝京大学医学部附属市原病院精神科

ページ範囲:P.63 - P.70

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【抄録】 「anorexia nervosaの経過中に現れ,疾患の回復につながる食べすぎ」を「多食傾向」として取り上げ,症例をあげて検討した。通常みられる過食とこの「多食傾向」には,衝動性の程度,持続時間や摂食量,排出行動の有無,「おいしいという感覚」の有無,持続期間などにおいて症候的差異が認められた。提示した症例でみられた多食傾向の出現,それによる体重の増加,身体症状の出現と消失,昼夜逆転と深夜摂食への移行,これらはanorexia nervosaから回復する過程で現れたある程度の必然性を持った一連の症候変化と考えられた。「多食傾向」は,anorexia nervosa患者に必然的に内在する強い食衝動が,疾患の回復に伴い徐々に解放されていく過程と考えられた。多食傾向が出現する可能性を常に考えつつ,患者の症候変化を細かく観察することで,経過の評価,予測がある程度可能となり,患者・家族への心理教育的効果も期待できるという利点が考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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