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文献詳細

雑誌文献

精神医学42巻10号

2000年10月発行

特集 職場の精神保健

現代の職場の抱える精神医学的問題

出勤拒否

著者: 広瀬徹也1

所属機関: 1帝京大学医学部精神科

ページ範囲:P.1041 - P.1044

文献概要

はじめに
 この不況の時代で出勤拒否は減少し,精神医学的にひと頃よりも問題にならなくなったかと思われたが,限りある項目の中でこのテーマが選ばれたことは依然問題となっているとみてよいであろう。筆者の関係している某大企業でも最も扱いに困り,経過が長引くのはこう呼ばれている一群である。
 同名の論文3)で筆者はこの呼称について論じたが,今日でも正しいとはいえない出勤拒否が用いられるのはなぜであろうか。病気のための欠勤であれば誰もこう呼ばないであろう。病気でないのに休む以上は本人の意志が働いているとみるのは当然ともいえ,そのあたりを言い表すのにこの言葉が適当と思われるのではないだろうか。しかし,素人はともかくとして,このような例の治療に携わったことのある精神科医療者なら,それが正確な呼称でないことは一様に認めていることであろう。その中核症状は出勤恐怖であると考えているが,より広い病態をも含めるなら出勤困難症が適当かもしれない。出社困難症4,8)という用語が比較的新しいが,会社員以外の例もあることを考えると出勤困難症のほうが適当であろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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