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特集 職場の精神保健 現代の職場の抱える精神医学的問題
自殺の労災補償—自殺の現状と電通事案最高裁判決を通して
著者: 黒木宣夫1
所属機関: 1東邦大学佐倉病院精神科
ページ範囲:P.1053 - P.1057
文献購入ページに移動はじめに
過労死弁護団が1997年頃から「自殺過労死110番」を都道府県で開設し始め,マスコミ報道も勤労者の話題に関して「過労死」から「過労自殺」へと焦点が移行してきている。最近は自殺の労災認定に関して,労働基準監督署,基準局で業務外と労災認定が否定されても,企業側に損害賠償が請求され裁判所で民事訴訟として争われ,その結果として自殺が業務上認定されることが多くなり,社会問題となっているのである。過労自殺は,最近では労災補償の対象であると同時に企業に対する損害賠償訴訟の対象であり,現在,過労自殺訴訟で係争中の事案は,十数件あるとも言われている。筆者は,警察庁統計から我が国の自殺の動向と有職者の自殺動機について述べ,7年ぶりに自殺訴訟が終結した電通事案について報告すると同時に昨年,公表された自殺の労災認定に関して述べる。
過労死弁護団が1997年頃から「自殺過労死110番」を都道府県で開設し始め,マスコミ報道も勤労者の話題に関して「過労死」から「過労自殺」へと焦点が移行してきている。最近は自殺の労災認定に関して,労働基準監督署,基準局で業務外と労災認定が否定されても,企業側に損害賠償が請求され裁判所で民事訴訟として争われ,その結果として自殺が業務上認定されることが多くなり,社会問題となっているのである。過労自殺は,最近では労災補償の対象であると同時に企業に対する損害賠償訴訟の対象であり,現在,過労自殺訴訟で係争中の事案は,十数件あるとも言われている。筆者は,警察庁統計から我が国の自殺の動向と有職者の自殺動機について述べ,7年ぶりに自殺訴訟が終結した電通事案について報告すると同時に昨年,公表された自殺の労災認定に関して述べる。
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