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文献詳細

雑誌文献

精神医学42巻10号

2000年10月発行

特集 職場の精神保健

産業精神保健—課題と方向

職場における精神保健

著者: 荒井稔1

所属機関: 1順天堂大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.1069 - P.1074

文献概要

はじめに
 現在の職場の状況としては,10年間に及ぶ景気の低迷が持続し,それに由来する業績の悪化が経営者や管理職を不安に陥れている。さらに,インターネットなどの情報技術革新による仕事の仕方が急速に変化し,職場文化が改革されることによって,不適応を示す一般就業者も増加傾向にある。また,これまで日本の企業文化を支えていた「みなし家族主義」が解体し,欧米の個人主義的価値観を持つ就業者が増加することによって,社会的支持機能が衰え始めている。このような年功序列制や終身雇用制の終焉といった会社風土の変化によって,就業者の会社に対する帰属意識は変容し,よくもあしくも職場の個人に占める意味が変質しつつある。会社に対する「甘え」が許されなくなる傾向は,健常者にも不安を与え,精神健康を阻害する背景となっていることを踏まえつつ,小論では,職場における精神健康に関する諸問題のうち,重要と思われる点について,現在・過去・未来の順に若干の展望を行いたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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