文献詳細
精神医学における日本の業績
文献概要
はじめに
我が国の精神医学は,ヨーロッパ留学から帰った呉秀三が東京大学教授としてかの地で修めた新しい精神医学を紹介移植したことに始まるが,それが1901年で,それからちょうど1世紀の歴史を持つ。その間多くの優れた精神医学者が出たが,その中で特に目立つのが下田光造で,欧米人の研究や学説を凌駕する数々の独自の業績を挙げた。しかし我々は,その業績もさることながら,それを生み出した研究姿勢,透徹した論理,そしてみずからも努め,精神健康の目標ともした人格像に目を注ぎたいと思う。
結局,彼はただの脳病理学者にも,ただの臨床家にも,ただの精神療法家にも満足できなかった,真の意味での精神医学者であったが,その生き方の中に現代の精神医学に見失われがちな「真人」の追求があったように思う。特に足場の定まらない,若い研究者はそのあり方に示唆されるものが多々あるのではないかと思う。
我が国の精神医学は,ヨーロッパ留学から帰った呉秀三が東京大学教授としてかの地で修めた新しい精神医学を紹介移植したことに始まるが,それが1901年で,それからちょうど1世紀の歴史を持つ。その間多くの優れた精神医学者が出たが,その中で特に目立つのが下田光造で,欧米人の研究や学説を凌駕する数々の独自の業績を挙げた。しかし我々は,その業績もさることながら,それを生み出した研究姿勢,透徹した論理,そしてみずからも努め,精神健康の目標ともした人格像に目を注ぎたいと思う。
結局,彼はただの脳病理学者にも,ただの臨床家にも,ただの精神療法家にも満足できなかった,真の意味での精神医学者であったが,その生き方の中に現代の精神医学に見失われがちな「真人」の追求があったように思う。特に足場の定まらない,若い研究者はそのあり方に示唆されるものが多々あるのではないかと思う。
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