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文献詳細

雑誌文献

精神医学42巻11号

2000年11月発行

文献概要

研究と報告

1矯正施設内における覚せい剤精神病

著者: 秋山一文1

所属機関: 1岡山大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.1143 - P.1151

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【抄録】 1刑務所で直接診察・治療した覚せい剤精神障害の20例について,症状と経過を中心に後方視的に調査した。刑務所内精神科初診時の年齢が半数で41歳以上であり,覚せい剤使用開始から同初診時までの年数も半数以上で10年を上回っていた。精神病状態を示した者は17例であり,残りの3例は不眠,身体的不定愁訴を示した。精神病状態を示し12年以上の覚せい剤乱用歴のある8例は覚せい剤の最終注射から3か月間以上も症状が遷延してから刑務所内精神科を初診していた。そのうち4例では抗精神病薬治療に抵抗してさらに5か月以上も症状が持続し(遷延・治療抵抗群と名付けた),別の3例では同治療または自然経過によって症状が軽快した後に自然再燃を認めた。上記の遷延・治療抵抗群のうち3例でアカシジア,遅発性錐体外路症状を認めた。覚せい剤の最終注射からまもなく受診した9例でも,ほとんどが10年以上の乱用者で,症状軽快に2〜3か月を要する例もあった。5例に有機溶剤の乱用歴があり,そのうち2例では有機溶剤のみの乱用時から幻聴が出現しており,その後の覚せい剤の乱用開始以後も精神病状態は持続した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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