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文献詳細

雑誌文献

精神医学42巻12号

2000年12月発行

研究と報告

精神症状で発症し,臨床的にSudanophilic leukodystrophyと診断された1症例

著者: 鹿島直之1 苗村育郎2 菅原純哉3 畑沢順4 三宮正久5

所属機関: 1横手興生病院 2秋田大学保健管理センター 3秋田大学医学部精神科学教室 4秋田県立脳血管研究センター放射線科 5東京慈恵会医科大学精神医学講座

ページ範囲:P.1253 - P.1261

文献概要

【抄録】 32歳のとき精神症状で発症し,臨床的にsudanophilic leukodystrophyと診断された1男性例を脳画像を中心に報告した。精神症状として,初期の約1年間に,窃盗などの反社会的行動に代表される性格変化および記憶・注意障害が出現した。その後進行して,無関心,痴呆などが前景を占めるようになった。初期の精神・行動異常は前頭葉に関連する症候群と思われた。神経学的には,下降性垂直性眼振が特徴的であった。頭部MRIでは,早期から両側皮質下に広範性の白質病変がみられた。進行後のSPECTでは,小脳を含む全般性の血流低下が著明であった。なお,小脳の血流低下については,大脳白質の広範な障害により両側性にcrossed cerebellar diaschisisが生じているものと推測された。中年から精神症状で発症する疾患に本疾患があることを鑑別上念頭に置き,早期に脳画像を精査することの重要性を指摘した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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