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文献詳細

雑誌文献

精神医学42巻12号

2000年12月発行

文献概要

研究と報告

進行麻痺症例の長期縦断的SPECT所見変化に関する1考察—自験例2例と過去の症例報告を通して

著者: 北林百合之介1 上田英樹1 成本迅1 北仁志1 中村佳永子1 安田究1 福居顯二1

所属機関: 1京都府立医科大学精神医学教室

ページ範囲:P.1263 - P.1269

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【抄録】 進行麻痺2症例について,1年以上の縦断的な脳血流変化の評価を行った。両症例では,治療前には前頭葉中心のびまん性軽度脳血流低下が認められた。駆梅療法直後には,臨床症状の著明な改善にもかかわらず,脳血流はさらに低下し,この背景に炎症による病的血流充進の消退という機序が推察された。その後の長期経過では,日常生活の適応レベルの改善に伴って,脳血流値は緩徐に改善し,平均脳血流値はほぼ正常の範囲にまで回復した。
 進行麻痺症例における駆梅療法直後の脳血流低下と,その後の緩徐な脳血流の改善という変化パターンについてはこれまでに報告がなく,進行麻痺の治療過程における病態の変化を考える上で重要な所見と考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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