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文献詳細

雑誌文献

精神医学42巻2号

2000年02月発行

文献概要

展望

境界性人格障害のロールシャッハ・テスト研究

著者: 堀口寿広1

所属機関: 1国立精神・神経センター精神保健研究所知的障害部

ページ範囲:P.118 - P.125

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はじめに
 境界性人格障害は自己像,対人関係,気分の不安定さを示し,医療,相談機関において多くの専門家が取り組んでいる課題である。Hochら17),Widiger34),Murray27)はロールシャッハ・テストの有用性を否定したが,これまで多くの研究者がロールシャッハ・テストを用いて境界例と呼ばれる人々の心理学的な特徴を描出しようとした。日本でも多くの研究が行われており,学会などでの境界例の疑われる症例報告まで含めると,その量は膨大になると思われる。
 しかしながら,これまでの研究では,対象者は境界例の様々な概念に基づいて選ばれ,ロールシャッハ・テストの施行・解析方法も異なっており,結果をそのまま相互に比較することはできなかった(表1)。境界例のロールシャッハ・テスト研究はこれまでもまとめられたことがある4,5,21)が,その後DSMにおいて境界性人格障害という1つの共通した臨床概念が形作られ,さらに研究が進んでいる。そこで本稿ではこれまでの研究に加えて,近年の境界性人格障害のロールシャッハ・テスト研究を概説し,今後求められる研究を検討した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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