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文献詳細

雑誌文献

精神医学42巻2号

2000年02月発行

文献概要

資料

解離性同一性障害入院患者の臨床特徴

著者: 福島春子1 胡桃澤伸1 金光洙1 田中究1 小林俊三1 安克昌1 前田潔1

所属機関: 1神戸大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.153 - P.157

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はじめに
 解離性同一性障害(Dissociative Identity Disorder;DID)の特徴は1人の人間の中に2つ以上の独立した異なる同一性(交代人格)が存在することである。交代人格は,それぞれ独自の感情と行動のパターンを持ち,ある同一性が優勢な時には,その同一性が個人の行動を支配する2)
 多重人格現象は,18世紀末Gmelin, E9)が症例報告をして以来,19世紀にJanet, P.9,17,24),Binet, A.18,20),Prince, M.15),James, W.12)など多数の報告がある。しかし,20世紀に入ると,多重人格の症例報告は激減し,もはや多重人格は存在しないとまで考えられた22)。だが,北米では1970年以降,多重人格が再び注目されるようになり,1980年DSM-III1)で正式に診断名として採用されてから,症例数が爆発的に増加した。1990年代には,トルコ23),オランダ5,6,25),ベルギー26),ハンガリー26)など様々な国で,DIDの症例報告が相次いだ。オランダのBoonら5)は,精神科入院患者でDIDと診断されていなかった患者全体の3〜5%がDIDであった,と報告している。
 日本では,DIDは今なお稀な病態であると考えられている11)。日本における症例報告は,1996年以前には10例しかない10)。しかし,近年,日本でもDIDの症例報告が増加している4)
 今回我々は,DIDの診断,臨床症状,精神病理,経過,治療に焦点をあて,その臨床特徴を調査し報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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