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身体表現性障害の臨床的検討
著者: 大門一司1 野口俊文2 山田尚登3
所属機関: 1西山病院 2静岡県立こころの医療センター 3滋賀医科大学精神医学講座
ページ範囲:P.407 - P.411
文献購入ページに移動身体症状を訴えて内科などの専門科を受診し診察検査を受けたものの異常が認められないため,精神科への受診を勧められたり,自らが受診する症例が少なからずある。そしてその症状が,大うつ病による身体症状であったり,精神分裂病の病的体験症状であったりする場合がある。一方,身体症状の病因として心理社会的ストレスが強く関与していると判断され,適切な検査の後にも既知の身体疾患によって説明できない場合があり,これは以前から転換型ヒステリー(DSMでは転換性障害)として知られている。その典型的な症状(転換症状)は,麻痺,失声,視野狭窄,盲,知覚異常などである。
前回,我々は転換性障害の臨床的特徴を調査検討し,(1)女性に多いこと,(2)40歳までの発症数が全体の約70%を占めること,(3)心理社会的ストレッサーでは,職場関係の頻度が高いこと,(4)67%の症例が発症してから1か月以内に治療機関を受診していること,(5)初診時は中等度から重度に社会的機能が障害されていること,(6)外来通院を継続し治療終結した症例が30%であるのに対して,初回もしくは途中で外来通院を中断した症例が58%を占めることを報告した3)。
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