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文献詳細

雑誌文献

精神医学42巻5号

2000年05月発行

文献概要

特集 精神疾患の発病規定因子

精神分裂病の症状の理解—基本症状と3症状群を中心に

著者: 畑哲信1

所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.449 - P.455

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基本症状の概念
 1.精神分裂病の基本症状
 精神分裂病の概念はおおよそKraepelinとBleulerらによって作られた。それまで症状のレベルで並列的に記述されてきた精神疾患の中から,症状と経過,あるいは症状の精神病理学的理解に基づいて,1つの疾患単位を打ち立てたわけである。Kraepelinの場合,早発性痴呆と呼ばれるように,特有の症状を持ち,進行性に荒廃状態に至る特有の経過を示すという疾患概念を示していた。Bleulerにおいては,精神分裂病は,連合弛緩をはじめとする特有の症状によって特徴づけられる疾患とされた。Bleulerはそれを基本症状としてまとめている。
 疾患単位という場合,特定の病因が明らかにされていることが想定されるが,精神分裂病については,なにか病因が明らかにされていて,それに基づいた概念ではない。Bleuler自身,精神分裂病を1つの疾患単位として打ち立てることを試みたわけだが,これが病因に根ざした疾患単位ではないという点は明らかに述べていて,「精神分裂病の概念が後に(病因の究明によって)解消されねばならぬ運命にある」3)可能性についても述べている。基本症状についても同様で,これはあくまで病態レベルで精神分裂病を説明する概念であって,精神分裂病の病因とのかかわりについては明らかにされていない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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