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研究と報告
10年以上家を出られなかったパニック障害の1症例
著者: 池田政俊1 竹内龍雄1
所属機関: 1帝京大学医学部附属市原病院精神神経科
ページ範囲:P.517 - P.525
文献購入ページに移動【抄録】 10年以上家を出られなかったパニック障害の症例を報告し,治療過程や症状長期化の要因について考察した。患者は44歳時にパニック障害を発症し,広場恐怖と心臓病恐怖が強く,ついには寝たきりの状態となり,排泄もベッド上で行うありさまとなった。
55歳時入院治療を開始した。薬物療法で発作は消失し,入院当初はADLの向上も順調に進んだ。しかし途中から不安階層表を用いた行動拡大訓練はなかなか進まなくなった。背後に夫婦関係の問題があると考え,定期的な三者面接を行い,患者の感情の言語化を促し夫に受け入れるよう求めた。その結果,約1年後に退院し家庭生活に移行することができた。家族力動の変化が改善の一因と考えられた。
55歳時入院治療を開始した。薬物療法で発作は消失し,入院当初はADLの向上も順調に進んだ。しかし途中から不安階層表を用いた行動拡大訓練はなかなか進まなくなった。背後に夫婦関係の問題があると考え,定期的な三者面接を行い,患者の感情の言語化を促し夫に受け入れるよう求めた。その結果,約1年後に退院し家庭生活に移行することができた。家族力動の変化が改善の一因と考えられた。
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