文献詳細
私の臨床研究45年
生物—心理—社会的統合モデルとチーム精神医療(第6回)—社会復帰段階のチーム・アプローチ—精神科デイケア
著者: 西園昌久12
所属機関: 1心理社会的精神医学研究所 2福岡大学
ページ範囲:P.635 - P.639
文献概要
私どもは前任大学で精神分裂病の転帰についての追跡調査を行ったことがある(村田・西園,1973)1)。その結果によると,当時,開発された抗精神病薬で効果があったと思われた患者でも予想以上に転帰が悪いことが明らかになった。退院後2年以内に半数近く(48.0%)が再入院しているし,さらに同調査で,退院後,外来通院しているものではその後の再入院は少なく,他方,通院しなかったものではその後の再入院は多いことも認められた。つまり,精神分裂病の治療ではアフターケアが必要であることが明らかになった。その上,私どもはこの調査にあたって2人1組であらかじめ同意を得た上で家庭訪問を行ったのであるが,本人はもちろん,家族が近隣の人々から身を隠すように生活しているのを垣間見た。目指す患者の家に近づいたらかなり遠くに車を置いて訪ねたのであるが,その家が農村であった場合など,近所の人がその家に現れて,「見知らぬ人がお出でになっているが,何事ですか」と尋ねられることもあった。都会でも患者の母親は私どもを救世主のように迎え入れてくれるのに,障子の向うにいるはずの父親は決して会おうとしない家もあった。分裂病患者のアフターケアにはまず,安らげる居場所を確保することと,近隣から孤立している家族への共感と援助が必要なことを痛感した。
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