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文献詳細

雑誌文献

精神医学42巻7号

2000年07月発行

文献概要

研究と報告

非ステロイド系消炎鎮痛剤との併用によりリチウム中毒を呈した2例

著者: 中川東夫1 高木哲郎1 秋山典子2 榎戸芙佐子1 地引逸亀1

所属機関: 1金沢医科大学神経精神医学教室 2粟津神経サナトリウム

ページ範囲:P.729 - P.736

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【抄録】 非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)であるアルミノプロフェンまたはロキソプロフェンナトリウムを服用中の患者に炭酸リチウムを投与した結果,構音障害,嚥下障害,手指振戦,筋強剛,歩行障害などの身体症状や,失見当識,記銘力低下,情動不安定,錯乱状態などの精神症状を呈したリチウム中毒症の2症例について報告した。このリチウム中毒は,NSAIDsが腎プロスタグランジン系に作用し,血清リチウム濃度が上昇したために発症したものと考えられた。したがって,両薬剤の併用を必要とする症例には,血清リチウム濃度測定を含む諸検査を頻回にし,さらに臨床症状の観察を詳細にして,リチウム中毒の発生を予防することが重要である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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