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文献詳細

雑誌文献

精神医学42巻7号

2000年07月発行

文献概要

短報

Haloperidol decanoateの使用により抗結核薬とhaloperidolの相互作用を回避しえた精神分裂病の1症例—薬物相互作用の臨床的意義とhaloperidol decanoateの薬物動態学的有用性

著者: 宮川晃一1 佐藤裕史1 坂井俊之1 岩間久行1 守屋裕文1 渡嘉敷暁1

所属機関: 1埼玉県立精神保健総合センター

ページ範囲:P.737 - P.740

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はじめに
 近年,薬物血中濃度の測定の簡便化を背景に,薬用量と血中濃度の相関や,多剤併用の影響-薬物相互作用-などを勘案した合理的な薬物療法(Therapeutic Drug Monitoring;TDM)が求められるようになった。抗不整脈薬,抗生物質,強心配糖体,抗てんかん薬などと異なり,向精神薬については測定上の問題もあって,TDMは広くは行われていない。今回,我々は,肺結核を合併した精神分裂病患者で,抗結核薬であるrifampicin(RFP)の投与後,精神症状の増悪した1例を経験した。抗結核薬との薬物相互作用により,患者に従来から経口投与されていたhaloperidol(HAL)の血中濃度の低下したことが増悪の原因と考えられ,HAL経口投与をHAL decanoateの筋注に変更したところ,症状は改善した。症例の詳細を提示し,文献的検討を加え,向精神薬の薬物相互作用の臨床的意義について論じる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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