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文献詳細

雑誌文献

精神医学42巻9号

2000年09月発行

研究と報告

分裂病の考想可視—6症例による症侯学的検討

著者: 小野江正頼1 濱田秀伯1 千葉裕美1 神山園子1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部精神神経科学教室

ページ範囲:P.913 - P.919

文献概要

【抄録】 考想可視を示す分裂病5例,強迫的な書字を呈した1例を取り上げ症候学的な立場から検討を加えた。分裂病の考想可視は視覚領域に生じる言語性幻覚であり,多くは疾患がある程度進行し,考想化声,幻聴,非言語性の視覚表象を生じた後の段階に認められる。文字の細部は不明瞭でも内容は直ちにわかり,束縛性が強く,言語性幻聴に類似の推移をたどる。考想可視は行為を書字化して確認せずにいられない強迫行為に始まり,自我障害の進展に応じて主観空間の仮性幻覚から客観空間の幻視へ移行する。筆者は考想可視を,考想化声よりさらに低い人格水準で,主体が体験の自己所属性をつなぎ止めようとする一種の自助努力と考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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