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文献詳細

雑誌文献

精神医学42巻9号

2000年09月発行

文献概要

短報

妄想と気分障害を呈した高齢発症のCushing病の1例

著者: 田村みずほ12 小原圭司2 新井俊成3 土谷邦秋4 稗田正志5 風祭元2

所属機関: 1東京都立府中病院神経科 2東京都立松沢病院精神科 3東京都立松沢病院脳神経外科 4東京都立松沢病院検査科 5東京都立松沢病院内科

ページ範囲:P.969 - P.971

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 Cushing症候群は,内因性精神病と類似した好発年齢(20〜40歳代)と精神症状を呈するため,精神科的診断において注意を要する疾患として知られている1,3)本邦でのCushing症候群の報告は年間約100例で,その50%余が下垂体性のCushing病である。このうち60歳以上の高齢者は非常にまれで,下垂体性,副腎性ともに全体の約2〜3%4,6)と報告されている。今回我々は,肺炎による入院中に妄想状態となり,精神疾患として当院に転入院した後,Cushing病であったことが判明した74歳女性の症例を経験した。高齢者では,症状が非典型的で,診断が困難な場合が多いが,内分泌疾患による精神症状は適切な治療により劇的な改善を望めるので,早期の診断と治療が重要である。今後,超高齢化社会を迎えるにあたり,精神科医が高齢者のCushing症候群に遭遇する機会も増加すると予測される。その際の注意点を含め,若干の考察を加え報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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