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研究と報告
解離性障害にみられた実体的意識性
著者: 柴山雅俊1
所属機関: 1虎の門病院精神科
ページ範囲:P.25 - P.31
文献購入ページに移動【抄録】 実体的意識性を呈した解離性障害の3症例を提示し精神病理学的に検討した。そして実体的意識性,被注察感,対人過敏症状,聴覚過敏,見えない二重身,複雑幻視,要素幻視などの精神病様症状は解離性障害にしばしばみられることを指摘した。また実体的意識性を近位実体的意識性と遠位実体的意識性に分けると,近位実体的意識性では感覚的要素はさまざまであり,自己と他者の二重性が認められること,また遠位実体的意識性では感覚性に乏しく純粋な実体的意識性が現れやすく,また他者性が前景にあると考えられた。さらに回復過程では人とのつながりの中で生・現実・現在にとどまりつつ,死・夢・過去を新たに区切ることが重要であった。
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