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文献詳細

雑誌文献

精神医学43巻1号

2001年01月発行

文献概要

動き

「第30回日本神経精神薬理学会」印象記—設立の原点に戻って,基礎と臨床の対話重視を再認識

著者: 山脇成人1

所属機関: 1広島大学医学部神経精神医学講座

ページ範囲:P.105 - P.105

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 第30回日本神経精神薬理学会総会が東北大学大学院精神神経学分野の佐藤光源教授会長のもと,2000年10月26日,27日に仙台国際センターで開催された。
 本学会は精神科医と薬理学者が学際的に精神神経疾患の病因や薬物療法に関する臨床的・基礎的研究を推進するという目的で設立され,今年で30回という節目を迎えた。総会では,設立や学会の発展に貢献された田所作太郎氏ら6名に功労賞が贈呈された。今大会は佐藤会長の発案により,日本臨床精神神経薬理学会との2つの合同シンポジウムが企画された。「双極性障害の合理的薬物選択一臨床と基礎」では,国立精神・神経センターの本橋伸高氏がわが国の処方調査結果と現在のアルゴリズムを報告し,躁病治療にリチウムとカルバマゼピンが使用されているが,欧米で使用されているバルプロ酸の躁病への適応がないため,位置づけが困難なことを指摘した。因みに,本学会としてバルプロ酸の躁病への適応拡大を要望することが決議された。テキサス大のTrivedi氏は精神病像を伴ううつ病と双極性障害のうつ病のアルゴリズムについて報告し,前者では従来の三環系抗うつ薬+抗精神病薬に加えて,SSRI+非定型抗精神病薬あるいは電気けいれん療法の位置づけについて述べ,後者ではラモトリジンの有効性について触れた。J & Jのvan Kammen氏は新しい抗てんかん薬のトピラメートの躁病に対する有効性とその作用機序について述べた。筆者は参加できなかったが,「精神分裂病の合理的薬物選択—臨床と基礎」では,長崎大の中根允文氏によりわが国の精神分裂病の薬物療法の現状と問題点が,ウイーン大のKasper氏によりヨーロッパにおけるアルゴリズムが,また鹿児島大の山田勝士氏らによりわが国で開発中の抗精神病薬アリピプラゾールの薬理特性について報告された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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