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文献詳細

雑誌文献

精神医学43巻10号

2001年10月発行

文献概要

研究と報告

Beck自己評価尺度を通してみたアルコール依存症とうつ症状

著者: 宮川朋大14 飯塚博史2 松本俊彦3 岸本英爾1 小阪憲司3

所属機関: 1神奈川県立精神医療センターせりがや病院 2横浜市総合保健医療センター 3横浜市立大学医学部精神医学教室 4現,国立療養所久里浜病院

ページ範囲:P.1055 - P.1062

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【抄録】 入院アルコール依存症患者に対し,Beckのうつ病自己評価尺度(BDI)を実施し,治療者の臨床診断,退院の転帰,退院後6か月の予後との関係を検討した。BDIの合計点平均が,入院直後で19.8点,1か月目で15.5点,3か月目で12.5点と経時的に減少した。うつ症状を有する症例は高得点であったが,臨床所見とBDIが一致しない症例もあった。項目別では,「罰を受けている」という意識が3か月経っても持続する傾向があった。退院転帰や6か月予後とBDI合計点との間に相関を認めなかった。アルコール依存症者にうつ症状が遷延する場合,症例によっては,抗うつ薬治療を含む特別の対応がうつ症状の改善やアルコール依存症治療に有効であると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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