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短報
リスペリドン投与中にピサ症候群を呈した精神分裂病の1症例
著者: 原田研一1 佐々木信幸1 橋本恵理1 土岐完1 池田官司1 中野倫仁1 小澤寛樹1 齋藤利和1
所属機関: 1札幌医科大学医学部神経精神科
ページ範囲:P.1081 - P.1084
文献購入ページに移動ピサ症候群あるいは薬剤誘発性側方反張はEkbomら4)によって初めて報告された主に抗精神病薬によって惹起されるジストニア様の不随意運動の一種であり,体幹が後方に軽度同旋しつつ側方に屈曲するという特徴的な姿位を呈する。
ピサ症候群の原因薬物について,抗うつ薬投与中に発症したとする数例の報告11)を除いて,大多数の症例がhaloperidolなどのいわゆる古典的抗精神病薬投与中に発症している。しかしながら近年,錐体外路系の副作用を起こしにくい抗精神病薬としてclozapineなどの非定型抗精神病薬が臨床場面で普及するにつれ,それらの投与中にピサ症候群が発症したとする報告が散見されるようになった1,6,7)。
今回,我々は非定型抗精神病薬の1つでありserotonin-dopamine antagonistであるrisperidone投与中にピサ症候群を呈した精神分裂病の1症例を経験したのでここに報告する。我々の知るかぎりにおいて,これまでにrisperidone投与中のピサ症候群発症の報告はなされていない。
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