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シンポジウム 精神分裂病の心理社会的治療の進歩
認知行動療法
著者: 池淵恵美1
所属機関: 1帝京大学医学部精神科学教室
ページ範囲:P.1123 - P.1128
文献購入ページに移動 慢性精神障害者,ことに精神分裂病を抱える人たちの治療にはいくつもの困難がある。薬物療法抵抗性の精神病症状,急性期後の生活障害やそれに伴う挫折感,病識の乏しさを主原因とする治療の中断と再発,薬物療法による不可避的な副作用などである。近年は障害者基本法の制定や精神保健福祉法の改定などが進み,社会全体で援助していこうとする動きが活発であるが,ヒューマニズムと社会制度の充実で問題がすべて解決しないこともまた明らかである。これらの困難に対して,薬物療法と協同した心理社会的治療が役立ちうると筆者は考えている。本稿ではまず,SST(社会生活技能訓練)を中心とした認知行動療法について述べ,次いで困難を克服する上で,どのような心理社会的治療プログラムが有用であるか考察を試みたい。
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