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文献詳細

雑誌文献

精神医学43巻10号

2001年10月発行

シンポジウム 精神分裂病の心理社会的治療の進歩

精神分裂病患者に対する集団音楽療法の効果—対照比較研究から

著者: 林直樹1 田辺陽子2 中川誠秀3 杉田邦子4 堀内恵子4 佐々木愛子4 小池泉4 野口真紀2 岩田智夏子2 勝呂祐美子2 渡辺実千代2 奥居美穂2 高木景子2

所属機関: 1東京都精神医学総合研究所 2リムインターナショナル 3都立松沢病院精神科 4都立松沢病院看護部

ページ範囲:P.1141 - P.1147

文献概要

はじめに
 すべての文化では,音楽演奏や舞踏など音楽を中心とするさまざまな活動が生活に不可欠のものとして組み入れられている。そして,その音楽には,人間の生理的機能,心理的機能,さらに社会的活動にまで広く影響を与える性質があることが知られている。このような力を持つ音楽を精神保健の増進や精神障害の治療に役立てることは,人間の歴史と同じくらい古くから試みられてきたことである8)。このような音楽による精神分裂病に対する治療は,精神医療の発展と共に徐々に系統的に行われるようになり,現在では多彩な音楽療法の技法が開発され,実践されるに至っている。わが国でもその応用は村井靖児,松井紀和などによる精神病院における実践など,これまでに多くの活動が積み重ねられてきた9)。これらを土台にして,さまざまな職種の音楽療法に携わる人々が糾合して1995年に全日本音楽療法連盟が発足し,音楽療法の普及のための重要な足掛かりが作られた。わが国の音楽療法は,現在一層の発展に向けて準備が整いつつあるということができるだろう。
 このような情勢の中で音楽療法の基盤確立のために,その有効性についての検討が重要になってくることはいうまでもないだろう。しかし,この音楽療法の精神分裂病に対する効果の実証的研究は,現在でも,ごく限られているのが実情である。例えば,Medlineの検索で見いだされた対照比較研究は3件のみ7,11,14)であった。これに対して研究されなければならない事項は,音楽療法のさまざまな効果,音楽療法の効果の評価方法,効果の持続性の程度など数多くある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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