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特集 青少年犯罪と精神医学
非行少年の矯正治療と社会復帰—医療少年院の現場から
著者: 奥村雄介1
所属機関: 1関東医療少年院
ページ範囲:P.1195 - P.1202
文献購入ページに移動はじめに
最近の少年非行1,2)を全体的に見ると,少子化にもかかわらず非行件数が増加しているだけでなく,粗暴・凶悪化,薬物事犯の高水準の推移,女子少年の進出,低年齢化などの傾向がある。また,少年矯正の現場では精神科領域との境界線にある非行少年が増加しているとの声が聞かれ,「育て直し」ということが盛んに叫ばれている。このように少年非行の質・量ともに大きく変化している中で,量の面から見た場合に軽視できないのは覚せい剤を中心とした薬物事犯であり,特に女子少年では大きな比重を占めている。また,シンナー,大麻,コカイン,ヘロイン,LSDなどの非合法薬物と並んで向精神薬などを含む多剤乱用が増加しており,薬物汚染の裾野は低年齢層まで広がっている。質の面から見ると,普段はあまり目立たない普通の生徒による唐突で動機の不可解な凶悪事件が連続して発生し,「いきなり型非行」と呼ばれ,世間の耳目を集めている。薬物乱用に代表されるような,社会規範からの逸脱である「従来型非行」と内にこもるタイプの少年による「いきなり型非行」は対極にあり,少年非行は二極化4)していると言うことができる。また,不登校,ひきこもり,家庭内暴力の中から非行に発展する例が散見され,その一部が「いきなり型非行」に結びついていると考えられる。このように少年非行の二極化がみられる中で,どのような非行少年が医療少年院送致となり,どのような治療・教育がなされ,どのように社会復帰していくのかについて事例を挙げながら論を進めていく。
最近の少年非行1,2)を全体的に見ると,少子化にもかかわらず非行件数が増加しているだけでなく,粗暴・凶悪化,薬物事犯の高水準の推移,女子少年の進出,低年齢化などの傾向がある。また,少年矯正の現場では精神科領域との境界線にある非行少年が増加しているとの声が聞かれ,「育て直し」ということが盛んに叫ばれている。このように少年非行の質・量ともに大きく変化している中で,量の面から見た場合に軽視できないのは覚せい剤を中心とした薬物事犯であり,特に女子少年では大きな比重を占めている。また,シンナー,大麻,コカイン,ヘロイン,LSDなどの非合法薬物と並んで向精神薬などを含む多剤乱用が増加しており,薬物汚染の裾野は低年齢層まで広がっている。質の面から見ると,普段はあまり目立たない普通の生徒による唐突で動機の不可解な凶悪事件が連続して発生し,「いきなり型非行」と呼ばれ,世間の耳目を集めている。薬物乱用に代表されるような,社会規範からの逸脱である「従来型非行」と内にこもるタイプの少年による「いきなり型非行」は対極にあり,少年非行は二極化4)していると言うことができる。また,不登校,ひきこもり,家庭内暴力の中から非行に発展する例が散見され,その一部が「いきなり型非行」に結びついていると考えられる。このように少年非行の二極化がみられる中で,どのような非行少年が医療少年院送致となり,どのような治療・教育がなされ,どのように社会復帰していくのかについて事例を挙げながら論を進めていく。
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