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文献詳細

雑誌文献

精神医学43巻12号

2001年12月発行

文献概要

研究と報告

複雑な漢字の写字が正確であった左側頭葉後下部病変を有する失読失書の検討

著者: 大原一幸1 首藤美智子2 釜江雅子2 杉野栄太1 湖海正尋1 守田嘉男1

所属機関: 1兵庫医科大学精神神経科 2いなみの病院

ページ範囲:P.1339 - P.1344

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【抄録】 我々は左側頭葉後下部病変を有し,漢字に著明な失読失書を示した症例を経験した。左側頭葉後下部病変による失読失書では,漢字の視覚イメージの障害,あるいはその想起の障害により書字障害が起こり,写字が保たれるとされる。本例では,漢字を見た瞬間に書ける漢字と同等のスピードで,手本を見ることもなく複雑な漢字を写字できたこと,写字した漢字の意味が理解できないこと,写字した字が読めないことから,視覚イメージなしに,あるいはその想起なしに,漢字を写字したと考えられた。漢字の書字および写字に際しても,頭頂葉を経由する書字の感覚(視覚,運動覚を含む)—運動系の統一行動(運動覚性書字および書字運動パターン)が重要な働きをしているものと考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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