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文献詳細

雑誌文献

精神医学43巻3号

2001年03月発行

展望

精神分裂病の脆弱性とその臨床指標

著者: 松岡洋夫1 松本和紀1

所属機関: 1東北大学大学院医学系研究科精神神経学

ページ範囲:P.236 - P.249

文献概要

はじめに
 精神分裂病(以下,分裂病)の発病に関するさまざまな病態仮説の中で,Zubinによって提唱されたストレス・脆弱性仮説は20世紀後半を代表するものの一つといえよう54,55)。それ以前にも類似の考えはあったが,彼の論文67〜70)を見ると単にモデルの提示にとどまらず,現在直面している分裂病の病態論に関する広範な問題を先取りしている点で優れたモデルであることが理解できる。Zubinの仮説のように,現在,分裂病は生物学的要因(脆弱性)を基盤にそこに心理・社会的要因が加わることで発病や再発が起こると考えられている。そして,生物学的要因については脳機能障害に関する基礎的および臨床的研究が,一方で,心理・社会的要因については社会ネットワーク,患者家族の感情表出,ライフイベントなどをはじめとした研究が活発に行われている。
 ここでは,まず脆弱性概念の現代的意味を述べ,次に脆弱性研究において乗り越えていくべき課題にふれ,最後に脆弱性に関する臨床指標を紹介し,脆弱性の病態構造に関する若干の私見を述べたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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