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文献詳細

雑誌文献

精神医学43巻3号

2001年03月発行

研究と報告

精神鑑定を行ったALDH2*1/2のアルコール依存症について

著者: 中村和彦1 内海剛聡2 藤井聡2 三船和史2 福西勇夫1 洲脇寛3 岩橋和彦4

所属機関: 1東京都精神医学総合研究所 2三船病院 3香川医科大学精神科神経科 4麻布大学保健管理センター

ページ範囲:P.259 - P.266

文献概要

【抄録】 アルコール関連問題で逮捕され,本鑑定が行われたALDH2*1/2の2症例について報告した。症例1は,反社会性人格障害が基盤にあり,単純酩酊下で,飲酒による軽度の抑制解除により行動化したと考えられ,症例2は複雑酩酊下で,被刺激性の亢進,激しい興奮,部分的な健忘を示したと考えられた。裁判においては症例1は単純酩酊の鑑定が採用され,完全責任能力となり,症例2は複雑酩酊の鑑定が採用され,心神耗弱と判決された。また飲酒試験の結果より,症例2はアルコール濃度が200mg/dl以下で,複雑酩酊を生じたと考えられ,不耐性のアルコール依存症の特徴を示した。異常酩酊と考えられる症例は,ALDH2の遺伝子型を同定し,アルコール不耐性の有無について,飲酒試験を行い詳細に検討すれば,飲めないにもかかわらず飲んでいるといった生活背景,人格上の問題点などが浮かび上がり,異常酩酊についてのさらなる背景が明らかになるので,鑑定時の,判断材料の1つとして,意義深いものと考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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