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文献詳細

雑誌文献

精神医学43巻3号

2001年03月発行

文献概要

研究と報告

妊娠後期に抑うつ状態が出現し,出産後に増悪を認めたCushing症候群の1症例

著者: 勝強志1 秋山一文25 白崎義範3 堀伸一郎4 永井敦3 東俊宏4 辻孝夫4 黒田重利2

所属機関: 1慈圭病院 2岡山大学医学部精神科神経科 3岡山大学医学部泌尿器科 4岡山大学医学部第一内科 5現,獨協医科大学精神神経医学教室

ページ範囲:P.277 - P.282

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【抄録】 症例は29歳の女性。精神科的既往歴はなく,妊娠前は顔貌は正常。妊娠7か月頃から軽度の意欲低下と満月様顔貌が認められるようになった。妊娠34週で第1子を出産して,その3か月後頃から抑うつ状態が増悪した。岡山大学附属病院精神科初診時,ほとんど寡黙であり,抑うつ気分,意欲低下,自責感,離人感,健忘を認めた。抗うつ薬による治療を開始し,上記の抑うつ症状には一定の改善がみられたが,応答の遅さが持続した。アミラーゼ高値の精査にて同内科を受診し,入院精査の結果,コルチゾールの日内変動消失と左副腎腫瘍を認め,Cushing症候群と診断された。同泌尿器科にて左副腎摘除術が施行され,術後コルチゾール補充療法が開始された。術後は応答の遅さが徐々に軽快し,抗うつ薬も漸減・終了できた。本症例では妊娠によるCushing症候群の増悪が身体症状のみならず抑うつ症状としても現れ,出産・育児に伴う心労がさらにその増悪因子になったものと考察した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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