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文献詳細

雑誌文献

精神医学43巻3号

2001年03月発行

文献概要

研究と報告

Propranololの併用により焦燥感や攻撃性および暴力行為が軽減した慢性精神分裂病の2症例

著者: 谷川真道12 小渡敬1 金城みづえ1 宮城則孝12 榎木宏之1 小渡皐月1

所属機関: 1平和病院 2琉球大学医学部精神神経科学講座

ページ範囲:P.299 - P.306

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【抄録】 Propranololをはじめとするβ) blockersは,不安障害(パニック障害,社会恐怖など),リチウム起因性振戦,薬剤性アカシジア,遅発性ジスキネジア,PTSDなどの治療に有効と報告されており,さらに欧米においては精神分裂病者,精神発達遅滞者,痴呆性疾患や外傷などの器質性精神障害者の焦燥感,攻撃性および暴力行為などの症状の治療薬として,いくつかの報告がみられている。今回我々は,向精神薬の副作用により,向精神薬の増量や追加が難しく,焦燥感,攻撃性および暴力行為がみられていた精神分裂病の2症例にpropranololを併用したところ,低血圧や徐脈などを認めることなく,症状の軽減が認められた。なお,焦燥感の評価にはThe Overt Agitation Severity Scale(OASS),攻撃性の評価にはThe Overt Aggression Scale(OAS)を用いた。propranololは,焦燥感や攻撃性,暴力行為が認められる精神分裂病者で,向精神薬の増量や追加が困難な症例においては,有効な薬剤の1つであると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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