icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学43巻3号

2001年03月発行

文献概要

研究と報告

俳徊・盗食・放尿などの問題行動が遷延したため診断が困難だったうつ病性仮性痴呆の1例

著者: 橋岡禎征1 門司晃1 山下洋1 野見山晃1 尾籠晃司1 田代信維1

所属機関: 1九州大学大学院医学系研究科精神病態医学教室

ページ範囲:P.307 - P.314

文献購入ページに移動
【抄録】 俳徊,盗食,放尿などの問題行動が遷延し,コタール症候群をも呈したため診断が困難だったうつ病性仮性痴呆の1例を報告した。imipramineの投与により問題行動は消失し,その後否定妄想とそれに伴う拒絶症も消失した。症状寛解後HDS-R,MMSE,WAIS-Rにおいても著明な改善が認められたが,SPECTにおける両側前頭葉の血流低下に変化はなかった。本症発症の機序としてうつ病が遷延しコタール症候群に発展し,その一方で抑うつの深化を防ぐ防衛機制として解離状態が生じたと考えた。そしてこれらの病態像が複雑に混在していたため痴呆を疑わせるような問題行動や認知障害を伴った,言い換えればうつ病らしさからかけ離れた臨床症状を呈するに至ったと考察した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?