icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

精神医学43巻4号

2001年04月発行

雑誌目次

巻頭言

精神医学はいつその姿を現したのか?

著者: 酒井明夫

ページ範囲:P.350 - P.351

 誰かに尋ねられたとき,あるいは講義の最初に話すとき,また場合によっては何もすることがなくてぼんやりしているときに,精神科医はもしかしたら次のような問いに直面するかもしれない。「精神医学はいつ誕生したのか」,もしくは「精神医学はいつからあるのか」。
 まず,それは狂気の現れとともに存在したのではないかと仮定してみる。心の機能にはつねに偏奇や逸脱が発生すること,そして人類はこれまで数々の困難な事象に対処してきたという経験則からすれば,精神医学はおよそ人類の始まりとともに存在していたと考えても不思議はない。しかし,こうした事柄はアプリオリに認めるか推論すべきことであって証明できるものではない。先史時代にそれを確定させるような資料は存在しないからである。問題は記録がないということだけではない。狂気が存在したとしても,そこに必ずしも精神医学が存在するとは限らないのである。たとえば中世フランスでは,「思春期と幼少期」の区別はなく一様に「アンファンenfant」と呼ばれ,それが「無分別もしくは狂気」を意味する「フォルfol」という概念と混同されていたという歴史家たちの言葉を信ずるならば,「狂気のあるところ精神医学あり」という命題はそれほど自明なものではないことがわかる。治療の対象とはなるべくもない大量の「無分別な存在」がそれを例証しているからである。

展望

児童期・青年期の感情(気分)障害

著者: 大井正己

ページ範囲:P.352 - P.366

はじめに
 1980年以降,DSM-IIIに代表される操作的診断基準が一般的に用いられるようになり,児童期,青年期に症候群としての感情障害が高い頻度でみられるという報告が,特に欧米で目立つようになった。診断基準も臨床データの集積によって改訂され現在に至っている。この操作的診断基準にあてはめて,さらに合併診断(例えば行為障害や注意欠陥多動性障害など)も含めて診断すれば,その数が増加していくのは当然のことともいえるだろう。確かに,現在の子ども達を取り巻く環境は悪化の一途をたどっている。家族の崩壊,離婚率の上昇,児童虐待の増加,教育の荒廃と数えあげればきりがなく,明るい気持ちで子ども達が成長できない条件がそろっている。この意味で「うつ状態」の子どもが増加しているということは十分にうなずける。Mcknewら77)は,子どもの感情障害の要因として家族の崩壊,離婚とつれ子,別離,喪失,軽視と拒否,両親のうつ病などを挙げ,村田83)は,がちっと決められた学校や社会の枠組にうまく入り込むか,否定的同一性を求めて逸脱行動に走るかあるいはうつ病になるかの選択しかない子どもの置かれた現状について論じている。しかし,このような背景の中でほんとうに児童期,青年期の感情障害が増加の一途にあるのだろうか。また,成人の診断基準を特に児童期の感情障害にどこまであてはめることが可能なのだろうか。いくつかの疑問が浮かび上がってくる。
 Cantwellら18)は,児童期のうつ病に関する文献を展望し,4つの考え方があると整理している。①超自我が形成されていない子どもに成人と同じうつ病は存在しないとする考え方,②子どもにdepressive syndromeは存在するが,子ども特有の症状が出現するという考え方,③子どものうつ病は,多動や攻撃的行動などでマスクされるという考え方,④子どものうつ病も成人と同じ基準で診断できるとする考え方。そして,この④の考え方が支持されて増加している研究を概観し,成長していく子どもの発達的変化をとらえた研究の必要性を強調している。宮本80)が,かつてKraepelinの時代に緻密にまとめあげられた躁うつ病という疾患が,目立ってその範囲を拡大しながら,しだいに疾病的内実を薄めていること,内因性と心因性の違いも以前のようにあまり顧慮されなくなってきていることを批判しているが,同感である。このような疑問を前提としながらの展望であることをお断わりしておきたい。

研究と報告

家族療法としての地域精神保健ネットワークミーティング—養育担当者すべてが保護能力を失い孤立した兄妹への援助

著者: 佐野信也 ,   中山道規 ,   宮本ふみ ,   伊藤方子

ページ範囲:P.367 - P.375

【抄録】 筆者らは,保健婦,PSW,民生委員,教師,医師などで構成される地域ネットワークミーティング(NWM)が果たす機能について,家族療法の視点から考察した。事例は,養育担当者がすべて保護能力を失い,孤立した兄妹への援助が求められたケースである。祖父(痴呆),母(精神分裂病)は入院となり,妹は養護施設へ入所となった。この介入過程で,16歳の兄は孤独感や関係者への不信感を強く発展させた。NWMで精神科医に求められる役割は,社会が分担して担っている親役割に関する具体的助言であり,事態の推移に関する力動的理解の枠組みであった。NWMに参加する精神科医は,会議全体のまとめ役を期待されていることにも自覚的である必要がある。

患者の自殺が主治医に与える影響

著者: 斉藤陽子 ,   中尾智博 ,   竹田康彦 ,   藤岡耕太郎 ,   木村光男 ,   脇元安 ,   森山成彬 ,   斉藤雅

ページ範囲:P.377 - P.384

【抄録】 当院外来通院中に自殺した患者14名(アルコール依存症5名,精神分裂病5名,うつ病4名)の主治医6名に対し,患者の自殺が主治医に与える影響についてアンケート調査を行った。患者の自殺後,主治医はショックや悲しみの感情を持ち,行動面でも診察時に希死念慮に留意し,自殺の話題をすることが増え,記録が慎重になるという変化がみられた。こうした影響は患者の病態によって差があり,うつ病では大きく,アルコール依存症では小さい傾向があった。主治医における喪の作業として,上司や同僚の議論が最も有益であった。さらに,精神科外来患者における自殺の頻度,心理学的剖検や葬式への参列の有効性,患者の自殺に対する教育の重要性などについても言及した。

精神分裂病患者のサッケードによる検討

著者: 清水隆史 ,   桐野衛二 ,   島崎正次 ,   新井平伊 ,   井上令一

ページ範囲:P.385 - P.393

【抄録】 衝動性眼球運動(視覚性サッケード,記憶誘導性サッケード)から精神分裂病の病態を検討した。22例の精神分裂病患者を対象とし,サッケードの振幅・潜時・最大角速度をパラメータとし,記憶誘導性サッケードでは遅延期間内サッケードの頻度,予告刺激に対するサッケードの頻度を解析した。視覚性サッケードでは健常者と比較して低振幅であったほかには有意な差は認めなかった。記憶誘導性サッケードでは記憶誘導性サッケードの頻度が少なく,予告刺激に対するサッケードの頻度が多かった。パラメータでは振幅が小さく,潜時の延長が認められた。これらより精神分裂病患者ではサッケードの適切な発現と抑制が困難となっており,これらには前頭葉の機能低下が原因している可能性が示唆された。

精神分裂病における神経学的機能不全と症状構造との関連について

著者: 岡村武彦 ,   森本一成 ,   花岡忠人 ,   菊山裕貴 ,   岡田弘司 ,   米田博 ,   豊田裕敬 ,   左光治

ページ範囲:P.395 - P.401

【抄録】 精神分裂病患者68名を対象とし,精神症状を陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)を用いて評価し,因子分析を行い,得られた5因子(陰性症状,興奮・敵意,妄想・現実曲解,不安・抑うつ,思考障害)と神経学的徴候(連続運動,協調運動,感覚統合,原始反射)との関連を検討した。その結果,神経学的徴候の連続運動,感覚統合および総合得点と陰性症状,思考障害の因子との間に有意な関連を認めた。このことから精神分裂病の陰性症状,思考障害といった精神症状の出現の背景には,前頭葉,頭頂葉およびそれらを結ぶ広範な神経回路網の神経学的機能不全が関与していることが示唆された。

加齢,長期経過および長期入院が高齢精神分裂病患者の臨床的特徴に与える影響

著者: 堀彰 ,   綱島浩一 ,   宇野正威

ページ範囲:P.403 - P.409

【抄録】 今回入院期間が2年以上の精神分裂病(ICD-10)患者187例を対象とし,総合評価,精神症状,行動評価と抗精神病薬投与量を調査し,高齢患者における特徴とその原因について検討した。(1)高齢患者ではManchester Scale総得点,不安抑うつ,幻覚妄想,抗精神病薬投与量が減少する。(2)不安抑うつ,抗精神病薬投与量は年齢により一部説明可能であり,加齢により不安抑うつ,抗精神病薬投与量が減少する。(3)幻覚妄想は罹病期間により一部説明可能であり,罹病期間が長くなると幻覚妄想が減少する。(4)社会的引きこもり,身辺自立は,今回入院期間で一部説明可能であり,今回入院期間が長くなると社会的引きこもり,身辺自立が重症になる。

高齢精神分裂病患者に対する薬物減量の試み

著者: 鶴田聡

ページ範囲:P.411 - P.415

【抄録】 60歳以上の症状の安定した精神分裂病患者に対して薬物の減量を試みた。減量の提案に賛成した患者を減量例として薬物量を半分に漸減し,賛成しなかった患者を維持例として,いずれもその後2年間フォローした。減量例の再発率は35%(12/34)で,維持例は12.9%(4/31)であった。減量後の再発はBPRSやNLP量とは関係なく,年齢(65歳未満),病識(十分あり),HDS-R(20以上),GAF(80未満),AIMS(6以下)と関連していた。減量後の再発は平均5.5か月後で,再発後の回復は早かったが,観察終了時に症状増悪とされた例が4/12あり,非再発例に比し有意に多かったが,非再発例で症状改善とされた例は3/22で再発例に比し有意に多くはなかった。

挿間性の意識障害や記銘力障害,不安抑うつ状態を呈した好酸球増多症候群の1例

著者: 水挽貴至 ,   長瀬精一 ,   岩熊昭洋 ,   高尾哲也 ,   小島寛 ,   佐々木恵美 ,   鈴木利人

ページ範囲:P.417 - P.422

【抄録】 好酸球増多症候群を呈し,浮腫や筋痛,意識障害,不安抑うつ状態,記銘力障害などが消長した60歳男性の1例を報告した。頭部MRIでは,T1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号となる異常信号域が,基底核付近や脳室周囲に散在していた。脳SPECTでは島状の血流低下域を認めた。本例は好酸球増多の原因を特定できなかったことから,好酸球増多症候群(HES:hypereosinophilic syndrome)と診断された。HESでは微小循環障害を来しやすいことや,好酸球顆粒中に含まれるタンパク質の神経毒性などが指摘されており,これらが本例の精神症状の発現や検査所見の異常に関与しているものと推察された。

90歳以上で入院した痴呆患者の臨床的特徴

著者: 堀宏治 ,   稲田俊也 ,   織田辰郎 ,   冨永格 ,   保科光紀 ,   大野玲子 ,   田上修 ,   寺元弘

ページ範囲:P.425 - P.430

【抄録】 ICD-10の診断基準により,晩発性アルツハイマー病の痴呆群(以下,SDAT群)と診断された14例と入院時の年齢が90歳以上の群(以下,90歳代痴呆群)11例を対象として,痴呆症状についてはGBSスケールを,痴呆の行動心理学的症候についてはBaumgartenのDementia Behavior Disturbance Scale(以下,DBDスケール)を用いて評価し,2群間で比較を行った。その結果,90歳代痴呆群で著しい症状は,「集中力の障害」「覚醒度の障害」「速い動作の困難」「注意力散漫」などであり,SDAT群で著しい症状は,「見当識の障害」「記憶の障害」「最近の記憶の障害」であった。90歳代痴呆群で頻度が高い行動心理学的症候は,「夜間覚醒」であり,SDAT群で頻度が高い行動心理学的症候は,「同じ動作を繰り返す」などであった。以上より,90歳代痴呆群は情動面の症状などが強調された一群を含むものであることが示唆された。

企業労働者への調査に基づいた日本版GHQ精神健康調査票12項目版(GHQ-12)の信頼性と妥当性の検討

著者: 新納美美 ,   森俊夫

ページ範囲:P.431 - P.436

【抄録】 首都圏の大企業2社の社員を対象とした調査に基づき,GHQ-12の信頼性と妥当性を検討した(有効回答1,591,回答率71.7%)。内部一貫性を示すCronbach's αは0.85と十分に高い値を示し,それは下位群の属性にも影響されず0.84〜0.85を維持していた。平均値の比較では,30歳代以降で年齢が上昇するほど得点が低下し,コンピュータ技術者で得点が高く,いずれも有意差が認められた(p<0.01)。因子分析では「不安・抑うつ」「活動障害」の2因子が抽出された。比較分析と因子分析について,先行研究との整合性を検討した結果,一定の構成概念および交差妥当性が確認された。

短報

著明な幻覚症状を呈したテングタケ中毒の1例

著者: 川村諭 ,   鈴木満 ,   酒井明夫 ,   及川暁 ,   北畠顕浩 ,   智田文徳 ,   中山秀紀 ,   間藤光一

ページ範囲:P.439 - P.441

はじめに
 1959年から1988年までの30年間に本邦で報告されたテングタケ中毒の事例は24件にすぎず5),精神症状を主訴として受診したテングタケ中毒の報告はさらに少ない9,10)。本稿では,運動幻覚と場面幻覚を主訴に救急外来を受診したテングタケ中毒の1例を呈示するとともに,これまでの本邦における報告例との比較検討を行った。

摂食障害患者における養育体験の検討—EMBUを用いた評価

著者: 岡本明子 ,   山下達久 ,   名越泰秀 ,   和田良久 ,   加嶋晶子 ,   福居顯二

ページ範囲:P.443 - P.445

はじめに
 摂食障害の発症要因の1つとして,親子関係の問題が指摘されてきた。Bruch1,2)は,支配的・過干渉な母親が,乳幼児の内的なニードを適切に読み取れないことによって生じる自我同一性の障害が,摂食障害を生み出すことを指摘している。また,石川5,6)は神経性食欲不振症患者の父親の特徴として,指導性が欠如し,家庭で父親としての役割を不十分にしか果たしていないことを挙げ,父親を再認識しようとする発達段階に本症が好発することを指摘している。
 そのため,近年,摂食障害患者の養育体験に関する実証研究が行われ4,11,12),養育体験に関する評価尺度としてParental Bonding Instrument(PBI)(Parkerら7),1979)が用いられている。PBIは25項目からなる自己記入式質問紙で,16歳までに親から受けた養育体験を遡及的に評価し,養育体験を「care」,「overprotection」の2つの下位尺度で評価する。
 一方,PBIとは別の養育体験の評価尺度として,Egna Minnen av Barndorf Uppfostran(EMBU)(Perrisら9),1980)がある。EMBUは,PBIと同様に自己記入式で,両親の養育行動を遡及的に評価する方法であるが,81項目からなり,「拒絶」,「情緒的暖かみ」,「過保護」,「ひいき」の4つの下位尺度が抽出されている。そのためより多面的に養育体験を評価でき,また各質問項目ごとに両親を同時に評価するため養育行動の差が明確化されやすい。しかし,EMBUを用いた検討は海外ではいくつかあるものの,本邦ではみられない。そこで,今回我々はEMBUを用いて摂食障害の養育体験を評価した。

私のカルテから

粗暴行為を伴ったTurner症候群の1症例

著者: 川口才市 ,   清水宗夫 ,   山口直明 ,   宮坂佳幸 ,   田上和 ,   深津尚史

ページ範囲:P.446 - P.447

 Turner症候群は1938年にTurner4)が性腺と身体の発育不全を来す幼稚症(infantilism),翼状頸,外反肘を合併した女性7例(15〜23歳)を報告したことに由来する。その後,染色体分析の進歩により,本症候群は性染色体構成がXOを基本型とし,片方のX染色体の形態異常や,同一個体内に正常なXX細胞が混在するいわゆるモザイク型などもあることが判明した。これらのことから今日,本症候群はTurnerが記載した上記症状のうち,少なくとも1つを有し,かつ片方のX染色体の欠如,または部分的な欠失を認める女性と定義されている2)
 本症候群は前述の症状以外にも多数の身体症状を合併するが,精神症状にも幻覚,妄想,抑うつなど種々様々な症例が報告されている。このたびK病院で粗暴行為,特に夫に対する暴力行為が目立つモザイク型Turner症候群の1例を経験したので報告したい。

動き

「第8回慶應義塾大学医学・生命科学国際シンポジウム分裂病の包括的治療」印象記

著者: 鹿島晴雄 ,   水野雅文

ページ範囲:P.448 - P.450

 去る2000年6月5日から7日までの3日間,The 8th Keio University International Symposium for Life Science and Medicine “Comprehensive Treatment of Schizophrenia:Linking Neurobehavioural Findings to Psychosocial Approaches”(組織委員長:鹿島晴雄)が慶應義塾大学三田キャンパスにおいて開催された。当シンポジウムは慶應義塾大学の坂口光洋記念基金の全面的な後援により毎年2回,医学・生命科学系のさまざまなテーマで開かれる国際シンポジウムである。比較的限定されたテーマを取り上げ,最先端の学術交流を進めることが目的である。1大学が主催する研究集会ではあるが,「分裂病の包括的治療」というテーマは本年の日本精神神経学会のシンポジウムでも取り上げられるなど,今日,大きな関心を寄せられている領域であり,海外からの多数の著名な臨床家,研究者の参加を得て,熱心な討論がなされたのでここに報告したい。
 ニューロサイエンスの進歩に伴い,精神疾患の脳機能に関しても分子のレベルから神経心理学に至るまでいわゆるハイテクを用いた多くの知見が得られるようになった。他方,精神医療の現場では,外来中心の医療の定着とともに,新しい薬物療法に加えて心理社会的治療の重要性に対する認識も確実に広がりを見せ,さまざまな試みが行われている。これらの生物学的知見と心理社会的治療の試みの間にはなお多くの隔たりがあるが,本シンポジウムでは,両者の関連のもとで現時点で行われている治療的アプローチと,今後の両者の関連づけへの可能性がさまざまな側面から議論された。

「第18回日本青年期精神療法学会」印象記

著者: 横山恭子

ページ範囲:P.452 - P.453

 第18回日本青年期精神療法学会が,2000年11月11日,大正大学の鍋田恭孝教授のもと,東京品川のコクヨホールにおいて開催された。この学会は,20年前の1980年に名古屋でスタートし,これまでに17回の研究集会を重ねてきた「青年期精神医学交流会」が,このたび日本青年期精神療法学会として再出発することになったものだと聞いている。筆者も初めて参加させていただいた。その感想を以下に述べたい。
 今回の学会参加者は約170名という。比較的こぢんまりとした会で,アットホームな雰囲気であった。会としても,限りなく大きく発展していこうというよりは,このようなアットホームな雰囲気をめざしているようである。

「精神医学」への手紙

1地方都市保健所管内における措置入院での法運用状況

著者: 服部功 ,   東孝博

ページ範囲:P.454 - P.455

 1988年の精神保健法施行以降,措置入院適用での法の解釈・運用は,地域や法を用いる人によって相当な差異をみる。
 表*に人口30万規模の地域を管轄する長野県松本保健所の1992〜1995年度新規措置入院件数,鑑定実施率,措置入院率などを示し,同地域の措置入院での法運用状況を検討し若干の問題提起を行いたい(表は筆頭著者が信州大学医学部附属病院在籍中に収集した資料から作成した)。件数などは公表されている資料からで,疾患別内訳は示されていない。

基本情報

精神医学

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-126X

印刷版ISSN 0488-1281

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?