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全般性不安障害とパニック障害—病前気質,行動パターン,comorbidityの比較
著者: 大曽根彰1
所属機関: 1牛久愛和総合病院心療内科
ページ範囲:P.517 - P.526
文献購入ページに移動【抄録】 DSM-IV診断による107例の全般性不安障害(GAD)と127例のパニック障害を,病前気質,行動パターン,comorbidityなどの観点から比較検討した。その結果,GADはパニック障害と比較し,うつ病のcomorbidityが有意に少なく,これはうつ病に親和性のあるタイプA行動パターンが少ないことにも表されていた。一方,GADと人格障害のcomorbidityは高く,回避性人格障害が多かった。遺伝的に規定された病前気質からは,GADと広場恐怖を伴うパニック障害間に共通性を認めたが,その後の人格障害やうつ病などのcomorbidityからは,両疾患の異なる発展が示唆された。概して,GADではII軸の,パニック障害ではI軸の精神病理が前景と考えられた。
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