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文献詳細

雑誌文献

精神医学43巻5号

2001年05月発行

文献概要

研究と報告

髄液細胞数に異常を認めず側頭・頭頂・後頭葉に病変を示した単純ヘルペス脳炎の1例

著者: 斎藤浩13 末永貴美2 寺田道元1 長岡幾雄1 植本香織1 森岡壯充1

所属機関: 1広島市立安佐市民病院神経科精神科 2広島大学医学部神経精神医学講座 3現,国立療養所賀茂病院精神科

ページ範囲:P.537 - P.541

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【抄録】 症例は63歳,女性。X年1月中旬より左下肢脱力,2日後に頭痛,4日後には軽度の意識障害を認めた。その後,左下肢の間代性けいれんが出現し,意識障害も悪化したため,急性脳炎が疑われて入院となった。経過中,髄液の細胞数は正常であったが,臨床経過,脳波での周期性同期性放電,頭部MRI T2強調画像での側頭・頭頂・後頭領域における高信号といった所見から単純ヘルペス脳炎を疑いacyclovirの投与を開始した。その後,ウイルス抗体価からヘルペス脳炎と診断した。症状は41病日にはほぼ消失し,51病日に退院となった。本症例は臨床経過中に髄液細胞数に異常を認めず,側頭・頭頂・後頭葉に病変を示した点が特徴的であった。このように脳炎が疑われる場合には,髄液所見が正常であっても早期診断,早期治療が重要であると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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