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文献詳細

雑誌文献

精神医学43巻5号

2001年05月発行

文献概要

精神医学における日本の業績

加藤普佐次郎の業績—作業療法への寄与

著者: 加藤伸勝1

所属機関: 1老健施設ヒルトップ・ロマン

ページ範囲:P.559 - P.564

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はじめに
 我が国の精神科作業療法(作業治療)について語るとき,まず挙げられるのは加藤普佐次郎の名である。加藤は作業治療の創始者ではないが,これを組織化し,今日の生活療法の基礎を築いた先覚者である。
 加藤の学問的業績は多々あるが,ここでは彼の博士論文となった「精神病者に対する作業治療」(略称)に焦点を絞り,後年精神衛生の啓蒙に努めた業績に若干触れることで担当の責を果たしたい。
 加藤普佐次郎(1887〜1969)は愛知県香久山村で,俳人出原三敬の次男として出生した。10歳の時加藤家の養子となり,長じて名の如く「普く人を佐ける」(外国人にはHelper of the universeと説明した)べく,医師を目指し千葉医学専門学校に学び,九州帝國大学医学部法医学教室の助手を経て,母校の千葉医専の精神病学教室の講師となったが,1919(大正8)年に東京帝國大学精神病学教室の呉秀三教授を頼って同教室の副手となり,同年11月から東京府立松沢病院医員になった。1925(大正14)年に松沢病院を辞し,一時戸山脳病院長になったが,1928(昭和3)年8月から,内科精神科医院を開業した。1939(昭和14)年,明治大学法学部に入学(三男天白が病死し,その志望していた法律を学ぶためという),1949(昭和24)年,同大学の法学部教授に就任,精神衛生学を講じた。なお,開業後,指圧療法の普及に努め,また,妊娠中絶の反対を叫び,人類愛と世界平和を希求する幅広い運動を展開したが,1968(昭和43)年,81歳で他界した10)。独特の風格とユニークな発想を示す点で,精神医学界では異色の存在であった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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