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文献詳細

雑誌文献

精神医学43巻6号

2001年06月発行

研究と報告

痴呆患者における音楽療法の効果について—D-EMSを用いて

著者: 渡辺恭子1 酉川志保2 西川洋2 繁信和恵3 鉾石和彦3 安岡卓男3 塩田一雄2 松井博2 池田学3

所属機関: 1名古屋大学大学院教育発達科学研究科 2財団新居浜病院 3愛媛大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.661 - P.665

文献概要

【抄録】 痴呆症状を呈する初老期から老年期の患者120名(アルツハイマー病61名,脳血管性痴呆59名;男性38名,女性82名;平均年齢79.8±9.7歳)について,音楽療法と作業療法とを同日に行い,活動中の状態を痴呆用愛媛式音楽療法評価表(D-EMS)を用いて検討した。D-EMSの項目のうち「認知」「発言」「表情」「社会性」では,両療法中の状態に有意差が認められたが,「集中力」「参加意欲」については認められなかった。
 よって,音楽療法中は作業療法中に比べ,集中力や参加意欲は変わらないが,活動性が向上し,情動が安定し,他の参加者とのコミュニケーションが促進されていることが明らかになった。さらに,「認知」の項目の差は,音楽療法の手法により指示の理解が改善したことによると考えられたが,実際の認知機能そのものの向上との直接的な因果関係の有無については,今後の検討が必要であると思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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