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短報
Fluvoxamineが著効した精神運動興奮を伴った老年期の妄想状態の2症例
著者: 松本貴久1 西川正1 西岡聡子1 佐藤正弘1 齊藤和郁葉12 田中新一1 古賀五之1 内田又功1
所属機関: 1清和会西川病院 2島根医科大学精神医学教室
ページ範囲:P.673 - P.675
文献購入ページに移動従来,老年期の興奮状態や妄想状態には抗精神病薬や鎮静系の抗うつ薬を,妄想型うつ病にはamoxapineなどの抗うつ薬ないし抗うつ薬と抗精神病薬の併用療法が一般的である。しかし,抗うつ薬や抗精神病薬は抗コリン作用や錐体外路系の副作用のため,高齢者に使用が制限される場合がある。選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)であるfluvoxamineは抗コリン作用がなく,欧米では1983年以降導入され,fluvoxarnine単独で妄想型うつ病に対して,従来の三環系抗うつ薬プラス抗精神病薬ないし電気けいれん療法と同等の効果があるとの報告1)もある。今回我々は,軽度の脳器質病変を有し,せん妄による精神運動興奮を伴った老年期の妄想状態に,一部sulpirideを併用したが,主としてfluvoxamineが著効した2症例を経験したので報告する。
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