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研究と報告
精神分裂病における「奇異なbizarre」行動について
著者: 大塚耕太郎1
所属機関: 1岩手医科大学医学部神経精神科
ページ範囲:P.715 - P.725
文献購入ページに移動【抄録】 「奇異な行動」が顕著な分裂病群(奇異群)の特徴について検討した。奇異群は発病年齢が低く予後不良で,全般的重症度が高く,難治性分裂病との近接性が示唆された。症候論的には陽性症状,陰性症状,精神運動興奮など多彩な精神症状を示すが,陰性症状は相対的に重要度が低く,重篤な一級症状,奇異な思考障害を特徴とする。さらに,奇異群の特質である重篤な全般的重症度,思考解体,奇異な思考は妄想型,破瓜型,残遺型に共通して認められた。そして,症状構造は分裂病全般の特徴とされる5因子モデル,KraepelinやBleulerの中核概念に類似していることから,歴史的に形成されてきた分裂病概念の中核を体現しているといえる。
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